歪んだ世界-マステ絵
「……」
以前「プレゼント」という同人誌の表紙裏表紙の絵を貼ったことがありました。その作者の586さんからまたお話をいただき、次の同人誌の表紙を任されました。
前回と違い、お話の中から絵を描くのではなく「初代の主人公のドット絵をマステで貼って欲しい」とのこと。収録されるお話は読まずに、貼りました。
まずは、1.5cmの方眼を漫画の原稿用紙に書き、黒の部分といろの付いている部分を白黒で分けました。
今回はドット絵ということなので、できれば下書きをせずに貼りたいと思い、これの上に紙を固定し透かしてマステを貼るという方法をとりました。
そしてできあがったのがこちら。
デジタルであるドット絵をアナログなマステで貼ることで、不安定な感じを出しています。また、マステを意図的にちぎったりずらして貼ったり、絵が今にも崩れそうに見えるような工夫をしています。
ただ、これを見て、私は「背景白いな……」「もっとやれるな……」と思ってしまったのです。もっと崩れるほど不安定にしたら、もっとぐしゃっと歪ませたら、面白いだろうなぁって、思ってしまったのです。
そこで、私は公式の初代主人公の画像をネガにして、貼り始めました。最初に貼った絵は、マステをちぎったりずらしたりしましたが、それとは対称的にしたかったため、正確にドット絵を貼りました。この主人公がゲームのデータということを意識し、青のマステはあえてアルファベットの入ったものを使用しました。
さて、2枚貼ったものの、これをどうするかは考えていませんでした。そのとき目に入ったのが、ドット絵を貼るために最初に描いた白黒の原稿用紙。それを見て「そういえば、きっとこの主人公のデザインを考えるとき、アナログで下書きをしたよなぁ……」と思ったのです。そこで描いたのがこれです。
主人公のドット絵を考えるときに描いたであろうデザインの下書き……という設定で描きました。ボールペンで描いたところを消しゴムでぼかしたり、右の方には消しゴムのカスのような点々を描いたり、作業の後が見えるように描きました。
この3枚の絵、最初ははさみで斜めに真っ直ぐ切り取って貼り付けようと思っていました。その頃でしょうか、同人誌のタイトルを意識したのは。「歪んだ世界」デジタルならいくらでも加工して絵をぐにゃりと歪ませることができるでしょう。しかし、私の絵はアナログ……そこで私が取ったのは「絵を破る」という行動でした。3枚の絵をそれぞれコピーし、ビリビリと破き、貼り付けました。赤い絵は、目を真っ二つにしたくて、一度破いたものをさらに目の部分で破きました。最初はうまくいかず、何枚も絵を破きました。また、破いたときに絵の表面だけが剥がれてできる白い部分(伝わるかな?)が多くなるように破いています。
そんなんで、こんなものが出来上がってしまったわけです。この絵は歪んでいるけれど、風間さんの心は純真無垢で真っ直ぐなのですよ。無垢って恐ろしいね♡