M-STyle

ポケモンとマスキングテープ

きっかけ

私がマステ絵を始めたのは高1の冬、ある友達のひと言がきっかけでした。

私は実は着色が大の苦手で、水彩やコピックで絵を台無しにしてしまうことが多くありました。下書きがうまく描けただけに、着色で色が混ざったり滲んだりすると「もう色なんて塗らない!」なーんてこともしばしば。次第に画材に触らなくなっていきました。

高校生になって、不思議な同級生に出会いました。彼女は猫背でガニ股で、人を遠ざけるような雰囲気を醸し出していました。「なんだこいつ面白いぞ」と思った私は、少しずつ彼女に近付きました。お昼を1人で食べている彼女の机にお弁当を置き、「私ここで食べるから」と言って、ご飯を食べたり、休み時間ごとに彼女を観察したりしました。最初は嫌そうな顔をしたものの、彼女はそのうち私を名前で呼ぶようになりました。

ある日、彼女が私の絵を見て「色は塗らないのか」と聞いてきました。私は「着色が苦手なの」と言い、今まで挑戦して失敗してきた着色の数々を話しました。すると、彼女はこう言ったのです。

「深織の絵にはマスキングテープが合うような気がするけどな」

そのとき初めて聞いた「マスキングテープ」という言葉。マスキングテープ絵師のりょーのさんの絵を見せてもらったのもそのときでした。その絵を見て、着色が苦手な私でもこれならできると確信。マステ絵をやりたいという私に、彼女は誕生日プレゼントとしてマスキングテープをくれたのです。

また、彼女は物書きで、当時はポケモンのコミュニティに文章を投稿していました。あんまり何度もその話をするので、嫌がらせをしてやろうと、私もそのコミュニティに出没しました。そこに投稿したマステ絵が、ある人の目にとまり、のちに同人誌の表紙を描くことになるのですが、それはまた別のお話。

あのとき彼女にマスキングテープの存在を教えてもらわなかったら、マステ絵なんて描いていなかったでしょう。お礼を言うにも、彼女は高校を卒業後遠くに引っ越してしまい、なかなか会えません。ちなみに今は農業をしているそうです。twitterやLINEでは照れくさくて言えないけれど、今でも本当に感謝しています。

りょーちゃん、ありがとう。